プリザーブドフラワーは茎を見せず、花の部分だけを楽しむデザインが多いので、単調になりがちです。そんな場合はグリーンを添えて、動きのあるのびのびとしたアレンジメントに仕立てます。
プリザーブドグリーンは、バラなどのお花と違って、茎部分もアレンジメントに使える花材です。花と花の間からグリーンを飛び立たせると、フレッシュで自然な雰囲気になります。
グリーンは、大切な脇役となってメインとなるプリザーブドフラワーを引き立て、個性的なフォルムを生み出します。
細長く流れのあるグリーンの場合、ラインを意識して造形的に束ねたものを加えると、躍動感溢れるアレンジメントとなります。
濃い重みのあるグリーンをたくさん使うと、花とグリーンの強いコントラストが花の存在感を高め、ドラマティックで優雅な雰囲気を醸し出します。
プリザーブドフラワーのアレンジメントの中には、グリーンをプリザーブドフラワーではなく、アート素材のものを使っている事があります。
アート素材を使う事の良さは、色移りしないことです。プリザーブドフラワーは染色された植物なので、グリーンの種類によっては、薄い色のお花に濃い色が移ることがあります。メーカーの加工によって多少の違いはありますが、プリザーブド加工された濃い色のリーフは色移りしやすいのです。
グリーンをバラなどのメインの花に近くに添えると、それだけで動きが出てきます。しかしそれは、色移りすることと背中合わせなのです。
もちろん、色移りしないように工夫してアレンジメントする際に手を加えることは必要なのですが、実際には薄い色の花材と濃い色の葉が接触する状態でアレンジメントされていることが多いように見受けられます。
アート素材の場合、色移りすることがないので、薄い色のプリザーブドフラワーと濃い色のアートの葉を隣り合わせにしても何の問題もありません。またアート素材はプリザーブドフラワーでは見られないような豊富な種類があり、アレンジメントに様々な表情を付けやすいというのもポイントです。プリザーブドフラワーと比べてアート素材は安価なので、費用をかけずにボリュームアップできるというのも、制作者にとってはメリットかもしれません。
アート素材のものでも、本物と見間違えるぐらいグレードの高いものもあり、質感やそのものから漂う雰囲気が、本物と見間違えるような高級なものもたくさん販売されています。
よろこびの森では、生花の美しさを受け継いだプリザーブドフラワーだからこそ、リーフ類はプリザーブド加工されたものを使用しています。
しかし、一部のアレンジメントについては、積極的にアート素材のものをつかって、変化や動きのあるアレンジメントを創出しています。
また、実ものの一部のものについては、アート加工されたものを使用しています。種の状態にまでなるとプリザーブド加工されているものもありますが、ブルーベリーなど水分の多い果肉の部類ではプリザーブド加工は不可能なのです。
左:
ベアグラスを束ねて、花の間から覗かせた躍動感のあるアレンジメントです。
そのままあしらっても印象的なグリーンですが、折ったり丸めたりちょっと手間加えるだけで、アレンジメントのセンスが120%UPします。
このアレンジメントも、今にも弾けそうな曲線がアクセントになって、生き生きとした表情を見せていますよね。
また、数種類のグリーンをミックスして葉色のグラデーションを作ることで、立体感や奥行き感が生み出されます。淡いプリザーブドローズと深いグリーンの濃淡が際立っている場合、程よいコントラストが効いて、ぐんと豪華な印象を受けます。
中央:
軽くしなやかなグリーンで曲線を描いた、遊び心いっぱいのキュートなアレンジメントです。
花器とプリザーブドフラワーの花部分だけだとコンパクトな大きさのアレンジメントですが、大胆にグリーンを添えるとボリュームが出て、お洒落感も断然アップ。
柔らかいベアグラスは、スポンジに挿すだけで綺麗なカーブが描けますが、根元をベース部分にしっかり接着しておいたほうが、型崩れの心配も少なくなります。
右:
平面のグリーンはそれだけで存在感があり、濃い色合いのものは特に花色をくっきり引き立て、アレンジメント全体にメリハリが生まれます。
プリザーブドフラワーには、アイビーなどの表面にテカリのあるものから、ラムズイヤーのように産毛が生えたような柔らかいものなど、様々な表情のグリーンが揃っています。
グリーンの濃淡だけでなく、形や質感が異なるものを組み合わせることで、立体感や深みが生まれます。