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このエボリューション9 コレクションについて解説するとともに、代表的な5モデルを紹介する。

2025.05.28

3種のムーブメント、4種のコレクション展開で多様な需要に対応しているグランドセイコー。中でも「エボリューション9 コレクション」は、新たなデザイン文法を採用したコレクションだ。

グランドセイコー「エボリューション9 コレクション」とは?
「エボリューション9 コレクション」は、「ヘリテージコレクション」、「エレガンスコレクション」、「スポーツコレクション」と並んで、グランドセイコーが展開しているウォッチコレクションだ。

その特徴は、2020年に同ブランドによって確立されたデザインコード“エボリューション9 スタイルの採用にある。このスタイルは、グランドセイコーのデザイン文法である「セイコースタイル」を発展させている。セイコースタイルの哲学であった「時計としての使いやすさ、美しさ」を、さらに追求し、進化させたものとなっている。

その中核にあるのが、日本らしい美意識の表現だ。日本人の生活様式や文化でたびたび見られる、障子や縁側といったものは、日光の強い光を和らげ、陰との柔らかな共存を生み出す。グランドセイコーでは、こういった「光と陰の共存」を日本の美意識と捉え、光と陰の間に生まれる「中間の美」をエボリューション 9 スタイルの哲学に据えている。

スーパーコピー時計 代引き専門店エボリューション9 スタイルを形作る3つのデザイン方針
グランドセイコー ブティック エボリューション9

多面カットが施された針やインデックスはセイコースタイルの特徴のひとつだが、エボリューション9 コレクションでは、いっそう力強さや立体感が強調されており、強い光源下でも文字盤に埋没せず、高い視認性を誇る。
「時計としての使いやすさ、美しさ」と前述した。エボリューション9 スタイルでは、デザイン方針の核に時計としての「審美性」「視認性」「装着性」を挙げ、セイコースタイルからこの3つの方針の進化を標榜している。

審美性の進化は、主に外装の造形や、その仕上げから見ることができる。平面と平滑な曲面を立体的に連ねた、張りのある造形を基本とし、歪んだ曲面は排除。ヘアラインと鏡面仕上げを共存させることで、光と陰の中間にある「ほの明るさと、ほの暗さ」を体現しているのだ。これは、日本人らしい美意識や自然観を落とし込んでいたセイコースタイルの根源を、より鮮明化するものである。

一方、視認性の進化は、グランドセイコーを象徴する重厚な針とインデックスを、さらにメリハリを高めた形状に変更し、それぞれの判読性を向上させることで実現された。もちろんこれは従来のセイコースタイルでも重視されていた要素であり、1960年誕生の「初代グランドセイコー」より継承され続けてきたものである。エボリューション9 スタイルでは、多面カットを施した力強い針や、溝の入った立体的なインデックスを採用することで、その独創性と視認性がより研ぎ澄まされている。

そして、装着性の進化は、新設計の外装に備わった。重心を落としたケース設計に、幅広で適切な厚みを備えたブレスレットを合わせることで、横方向のぐらつきが少なく、安定した装着感が実現されている。実際に着用しなければ分かりにくい変化ではあるが、使用感に直結する大きな進化といえるだろう。

コレクションに共通する9つのデザイン特徴
グランドセイコー ブティック エボリューション9

多面を備えたケースはヘアライン仕上げと鏡面仕上げがコンビネーションされている。稜線の面取りが際立っており、手首から強い存在感を放つ。
エボリューション9 スタイルは、以上の3つのコンセプトをもとにした、9つのデザイン特徴を備えている。新たに採用されたものもあれば、セイコースタイルから進化したもの、そのまま継承された要素もある。

新たに加わった要素として顕著であるのが、前述の通り、装着性の向上に向けて設計された、重みや大きさを感じさせないケースとブレスレットだ。ケースはガラスの取り付け位置を低くすることで重心が下部に置かれ、手首に吸い付くような重量感を備えている。また、ブレスレットについてもケース径の2分の1以上の幅広とし、厚みを与えることで、しっかりと手首にホールドさせることを志向された。

セイコースタイルからの進化は、針・インデックスといった表示部や、ケース・ブレスレットの仕上げから見ることができる。幅広の針は、時針と分針を明確に違う形状とすることで、判読性を追求。多面のインデックスについても、中心に”割り”を入れ、また、12時時のみ2倍以上の太さにすることで、視認性を高めている。また、表面仕上げについては、ヘアラインを主体とすることで、鏡面の歪みない輝きを引き立て、立体感が演出された。

一方、フラットなダイアルや大きく弧を描くケースサイドのラインなどは、セイコースタイルからそのまま継承されたものである。歪みのない仕上げが光る稜線は、ひと目でグランドセイコーと認識できるフォルムを構築している。

グランドセイコー「エボリュショーン9 コレクション」から、5モデルを紹介!
エボリューション9 コレクションでは、現在、9Sメカニカルと9Rスプリングドライブの2種のムーブメントを搭載したモデルが展開されている。次世代ムーブメントを搭載したモデルも数多く登場しており、いずれも進化したデザイン文法にふさわしい機能性を備えている。

ラインナップはさまざまで、クロノグラフ、ダイバーズウォッチに加え、2024年のウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブでは、新型手巻き式のムーブメントを搭載したドレッシーなモデルも発表された。今回、その多彩なラインナップの中から、モデルを5本ピックアップした。

「エボリューション9 コレクション」Ref.SLGH005
グランドセイコー エボリューション 9 コレクション SLGH005
グランドセイコー「エボリューション9 コレクション」Ref.SLGH005
自動巻き(Cal.9SA5)。47石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約80時間。SSケース(直径40mm、厚さ11.7mm)。10気圧防水。127万6000円(税込み)。
SLGH005は、白樺をモチーフとしたダイアルを特徴とする、言わずと知れた人気モデルだ。大胆に施された型打ちはダイアルはっきりとした陰影を備えており、エボリューション9 スタイルの「光と影の中間の美」をより楽しめるものとなっている。このモチーフは、9Sメカニカルの製造拠点「グランドセイコースタジオ 雫石」にほど近い、白樺の群生林から着想を得たものである。

ムーブメントは自動巻きのCal.9SA5を搭載する。毎秒10振動のハイビートと、約80時間の実用的なパワーリザーブを両立しており、デュアルインパルス脱進機やツインバレル、「グランドセイコーフリースプラング」方式のテンプなどといった、同ブランドの技術力が結集した新世代ムーブメントだ。高性能ながら、薄型化に成功しているため、ケース厚が11.7mmに抑えられている点も注目したい。

「GPHG」などといった栄えある受賞歴を誇るだけでなく、メジャーリーガーの大谷翔平選手がグランドセイコーから直接贈られるなど、話題の絶えないモデルだ。

「エボリューション9 コレクション テンタグラフ」Ref.SLGC001
グランドセイコー エボリューション 9 コレクション SLGC001
グランドセイコー「エボリューション9 コレクション」Ref.SLGC001
自動巻き(Cal.9SC5)。60石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約72時間。ブライトチタンケース(直径43.2mm、厚さ15.3mm)。10気圧防水。198万円(税込み)。
SLGC001は、グランドセイコーの9Sメカニカルムーブメント初のクロノグラフとして登場した。エボリューション9 スタイルがスポーティにアップデートされており、外装へブライトチタンを採用することで軽く、装着感を高めたことに加え、直感的な使いやすさ、見やすさが追求されているという。

また、ミッドナイトブルーのダイアルには岩手山パターンと呼ばれる放射状のディテールが施された。

搭載するCal.9SC5は、毎秒10振動と約3日間のパワーリザーブを有する自動巻きクロノグラフムーブメントだ。TEN beat(10振動)、Three days(3日間)、Automatic、ChronoGRAPHを意味する、“TENTAGRAPH”(テンタグラフ)の名が与えられている。

「エボリューション9 コレクション」Ref.SLGA015

グランドセイコー「エボリューション9 コレクション」Ref.SLGA015
自動巻きスプリングドライブ(Cal.9RA5)。38石。パワーリザーブ約120時間。ブライトチタンケース(直径43.8mm、厚さ13.8mm)。200m防水。168万3000円(税込み)。
ISO 645で定められた、ダイバーズウォッチとしての基準をクリアしたスポーティな1本がSLGA015だ。判読性、操作性、堅牢性に重点が置かれており、信頼に足る1本に仕上がっている。さらに、視認性が高められたブラックダイアルにも注目で、海流を思わせるパターンによって、ダイナミックなうねりが表現された。もっとも、ブライトチタン製のケースとブレスレットによって、見た目より軽やかに着用できる1本と言える。

ムーブメントにはスプリングドライブCal.9RA5を搭載する。優れた精度と、約5日間のロングパワーリザーブを特徴とすることに加えて、オフセットマジックレバーの搭載によって主ゼンマイの巻き上げ効率が高められているだけでなく、従来のCal.9R6系から0.8mmの薄型化にも成功している。

「エボリューション9 コレクション」Ref.SBGE283
グランドセイコー エボリューション 9 コレクション SBGE283
グランドセイコー「エボリューション9 コレクション」Ref.SBGE283
自動巻きスプリングドライブ(Cal.9R66)。30石。パワーリザーブ約72時間。ブライトチタンケース(直径41mm、厚さ13.9mm)。10気圧防水。117万7000円(税込み)。
SBGE283は、モダンで力強い造形を特徴とする、GMTモデルだ。ブラックダイアルにメタルベゼルを備えた意匠は普遍的な魅力にあふれており、さまざまなシーンで活躍してくれるだろう。また、シンプルであるがゆえに、素早く正確な判読を可能とする。

ケースはブライトチタン製で、軽やかながら堅牢。普段使いに適したモデルに仕上がっている。

ムーブメントは2006年、スプリングドライブとして初めてGMTが搭載された、Cal.9R66を有する。約18年にわたって使用されている、信頼性に定評のあるムーブメントであり、日差±1秒相当の高精度に加え、約72時間のパワーリザーブを有している。

「エボリューション9 コレクション」Ref.SLGW003
グランドセイコー エボリューション9 SLGW003
グランドセイコー「エボリューション9 コレクション」Ref.SLGW003
手巻き(Cal.9SA4)。47石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約80時間。ブリリアントハードチタンケース(直径38.6mm、厚さ9.95mm)。日常生活用防水。152万9000円(税込み)。
ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ 2024で発表された、エボリューション9 コレクションで初となる手巻きメカニカルモデルがSLGW003だ。エボリューション9 スタイルにのっとったドレスウォッチであり、薄く上品でありながらも、「時計としての使いやすさ、美しさ」が追求されている。

ダイアルのモチーフは白樺だ。繊細な型打ちによって、岩手県に位置する平庭高原の白樺林をほうふつとさせるような、凹凸が不規則に連なる樹皮が表現された。

ケースには、通常のチタンよりも白い色味を有する「ブリリアントハードチタン」が使用されており、上質な輝きと高い堅牢性が備わった。その厚みは9.95mmにまで抑えられており、エボリューション9スタイルの、重心を下部に置く設計はそのまま引き継がれている。

搭載するムーブメントはCal.9SA4だ。ブランドとして約50年ぶりに開発した10振動の手巻き式ムーブメントであり、約80時間のパワーリザーブを有している。さらに、新設計のコハゼとコハゼバネの採用によって、良好な巻き心地も追求されている。

グランドセイコーのメカニカルムーブメントの特徴と、このムーブメントを搭載したおすすめモデルを紹介する。

2025.05.28

ムーブメント製造の名手「グランドセイコー」は、3種類のムーブメントを使い分けている。独自機構であるスプリングドライブが有名だが、メカニカルムーブメントの評価も高い。

グランドセイコーのメカニカルムーブメント、その特徴
世界最高峰の腕時計に挑み続けるグランドセイコーは、これまで多くの高精度ムーブメントを誕生させてきた。マニュファクチュールで生み出されるメカニカルムーブメントの何がすごいのか、その特徴を見ていこう。

先端技術「MEMS」の導入
メカニカルウォッチには、約200~300もの部品が使用されており、それぞれの精細さがムーブメントの精度に大きく関わってくる。より高精度な部品を作るために、グランドセイコーでは脱進機の部品製造過程において先端技術「MEMS」を導入している。

“MEMS”は超精密部品の製造現場で用いられている加工技術のこと。この加工技術により0.001mm単位の精度で脱進機のアンクルやガンギ車を作ることが可能となる。

ムーブメントは精度が高くなるほど、部品同士が触れ合う回数が多くなり、摩擦が大きくなるため負荷もかかりやすい。しかし、MEMSで作った部品は表面が平滑になることから、摩擦が小さくなり、負荷も抑えられる。

グランドセイコー メカニカルムーブメント パーツ

ロレックススーパーコピー時計 代引き専門店9Sメカニカルでは脱進機となるパーツの製造に先端技術「MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)」を採用。従来の切削加工では難しい形状の部品を滑らかに、かつ精密に作り上げている。それにより、MEMSで成型したガンギ車は以前より5%軽量になった。
職人による丁寧な手作業
どんなに各部品が優れたものであっても、そのまま組み立てるだけでは理想のムーブメントにはならない。部品同士が適切に組み合わさるよう、丁寧な作業を進めることが重要だ。

グランドセイコーの工房では、メカニカルウォッチの仕組みを熟知した職人たちが、手作業で微細な調整を繰り返しながら高精度のムーブメントを作り上げている。

主ゼンマイの力を伝達する歯車一つひとつにも、職人が歯車の溝を一歯ごと丁寧に磨いている。グランドセイコーのメカニカルムーブメントが芸術品に見えることがあるのは、職人による丁寧な手作業が生み出した結果なのだ。

グランドセイコーの機械式時計が製造される「グランドセイコースタジオ 雫石」では、セイコー独自の「プロフェッショナル人材育成制度」で認定されたマイスターによって、9Sムーブメントの組立・調整が行われている。
独自の精度基準「新グランドセイコースペシャル規格」
グランドセイコーは独自のメカニカル時計用精度基準として、「新グランドセイコー規格」を設けている。スイス公式クロノメーター検定機関(C.O.S.C.)のクロノメーター基準よりも厳しい精度基準だ。

さらに、新グランドセイコー規格を上回る「グランドセイコースペシャル規格」も存在する。この基準をパスしたモデルには、選ばれた時計であることの証として、「SPECIAL」の文字がダイアルに記される。

また、9S系ムーブメントは、いくつもの姿勢差や温度環境で17日間に及ぶ検定試験を受けなければならない。厳格な規格に基づく独自の試験をパスしたムーブメントのみが、グランドセイコーの9Sメカニカルを名乗れるのだ。

新グランドセイコー規格
グランドセイコー独自の規格に基づき、工場出荷前にムーブメント単体の状態で、17日間に及んで6つの姿勢、3つの温度環境で平均日差+5秒〜−3秒までを審査する。全ての項目に合格したことにより、グランドセイコー規格検定合格証明書が発行される。

グランドセイコーのメカニカル時計おすすめ4選
9S系ムーブメントを開発し約20年ぶりにメカニカル時計を復活させた1998年以降、グランドセイコーはさまざまなメカニカル時計を生み出してきた。優れた精度を誇る9Sメカニカルを搭載したおすすめモデルを紹介する。

ブランド初のメカニカルクロノグラフ「エボリューション9 コレクション テンタグラフ」 Ref.SLGC001
グランドセイコー メカニカル SLGC001
グランドセイコー「エボリューション9 コレクション テンタグラフ」 Ref.SLGC001
自動巻き(Cal.9SC5)。60石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約72時間。ブライトチタンケース(直径43.2mm、厚さ15.3mm)。10気圧防水。198万円。
グランドセイコーは2023年、ブランド初のメカニカルクロノグラフ「Cal.9SC5」、通称「テンタグラフ」を誕生させた。約72時間のパワーリザーブを実現しているムーブメントである。

テンタグラフを搭載した「SLGC001」は、グランドセイコーの新たなデザイン文法「エボリューション9スタイル」をもとに設計されている。視認性を高めるための特徴的な針やインデックスは、「エボリューション9スタイル」によるものだ。

ケースは独自素材の「ブライトチタン」を採用している。ステンレススティールより軽く、耐傷性・耐食性に優れており、金属アレルギーを引き起こしにくいチタンであることから肌にも優しい。

グランドセイコー Cal.9SC5
「テンタグラフ」の名称は、10振動、約3日間のパワーリザーブ、自動巻きクロノグラフという3つの機能に由来する。「Cal.9SC5」は、毎秒10振動の計時精度を備え、クロノグラフ作動時でも約3日間(約72時間)の駆動が可能なロングパワーリザーブだ。
約80時間のロングパワーリザーブ「エボリューション9 コレクション」 Ref.SLGH019
グランドセイコー「エボリューション9 コレクション」 Ref.SLGH019
グランドセイコー「エボリューション9 コレクション」 Ref.SLGH019
自動巻き(Cal.9SA5)。47石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約80時間。ブライトチタンケース(直径40mm、厚さ11.7mm)。10気圧防水。146万3000円。
「SLGH019」は、メカニカルハイビートムーブメント「Cal.9SA5」を搭載したモデルだ。「Cal.9SA5」は3万6000振動/時のハイビートでありながら、約80時間のロングパワーリザーブを誇り、高精度と高耐久性を両立させている。

新たな「水平輪列構造」により薄型化を実現している点もポイントである。腕時計としての重心位置にもこだわり、より快適な装着感を実現している。

透明度の高いブルーダイアルに施されたパターンは、「グランドセイコースタジオ 雫石」から望める岩手山の山肌を表現したものだ。

2020年に登場した「Cal.9SA5」は、ツインバレルや、力の伝達効率の高いデュアルインパルス脱進機、さらには安定した精度を維持するグランドセイコー独自の巻き上げヒゲや、グランドセイコーフリースプラングなどを採用。
GMT機能を搭載「スポーツコレクション」 Ref.SBGJ277
グランドセイコー「スポーツコレクション」 Ref.SBGJ277
グランドセイコー「スポーツコレクション」 Ref.SBGJ277
自動巻き(Cal.9S86)。37石。3万6000振動/時。パワーリザーブ約55時間。SSケース(直径44.2mm、厚さ14.4mm)。20気圧防水。99万円。
新作「SBGJ277」は、標高の高い夏の山々に残る雄大な「雪渓」を文字盤上で表現。これからのシーズンにふさわしいモデルだ。

回転ベゼルに施されたグリーンと、繊細な型打ちで表現された純白のダイヤルパターンは、厳しい冬から春夏へと移りゆく、岩手山の雄大さをほうふつさせる。

ムーブメントにはメカニカルハイビート「Cal.9S86」が搭載されている。24時針によりもうひとつの時刻を表示できるGMT機能が搭載されたムーブメントだ。

グランドセイコー メカニカルムーブメント
10振動ムーブメント「キャリバー9S86」は繊細な構造にもかかわらず、新素材の採用や、MEMSの技術の投入などによって、衝撃に強く装着時にも極めて安定した精度を実現した。
カレンダー機能付きメカニカル自動巻き「ヘリテージコレクション」 Ref.SBGR315

グランドセイコー「ヘリテージコレクション」 Ref.SBGR315
自動巻き(Cal.9S65)。35石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約72時間。SSケース(直径40mm、厚さ13mm)。10気圧防水。63万8000円(税込み)。
「SBGR315」は、40mmケースにシルバー文字盤を備えた、ビジネスシーンにもピッタリのシンプルでベーシックな1本だ。ブルーの秒針によって、エレガントな印象も持ち合わせている。

搭載されているムーブメントは、便利なカレンダー機能を備えたCal.9S65である。振動数2万8800振動/時、約72時間のパワーリザーブと、実用的なメカニカルムーブメントとなっている。

シルバーのダイアルはあえて放射が抑えられることで視認性を確保すると同時に、立体的なインデックスと相まって、より引き締まった雰囲気を醸し出している。

グランドセイコーの高精度メカニカル時計を堪能
グランドセイコーの9Sメカニカルは、先端技術「MEMS」と職人の丁寧な手作業により生み出されている。独自の厳しい精度基準が設けられていることもポイントだ。

世界最高峰の腕時計にこだわるグランドセイコーのメカニカルモデルを手にして、最新技術と匠の技を融合したメカニカルムーブメントの高精度を実感してみよう。

パテック フィリップが2015年に発表した「カラトラバ・パイロット・トラベルタイム」の非凡さをひもとく。

2025.05.28

2015年に発表されたパテック フィリップのトラベルウォッチ
カラトラバ・パイロット・トラベルタイム
(右)カラトラバ・パイロット・トラベルタイム Ref.5524
2015年初出。トラベルタイムの機能性をパイロット調のデザインにまとめた快作。ストラップはヴィンテージ・ブラウンのカーフ製。自動巻き(Cal.324 SC FUS)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KWGケース(直径42.0mm、厚さ10.78mm)。6気圧防水。
(左)カラトラバ・パイロット・トラベルタイム Ref.7234
2020年に追加されたWGケースのミディアムサイズ。WGケースにはブルーダイアルが組み合わされるが、こちらはストラップも艶やかなブルーカラーに。自動巻き(Cal.324 S C FUS)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KWGケース(直径37.5mm、厚さ10.78mm)。6気圧防水。
 パイロットウォッチというジャンルが想起させる一般的なイメージには、どこかに規格化された機能性の優劣がつきまとう。しかし、2015年に発表されたカラトラバ・パイロット・トラベルタイムには、そうした既成概念に縛られることのない自由さがある。パイロットウォッチらしい記号性と視認性を有用なトラベルウォッチに落とし込んだ非凡さは、パテック フィリップの新たなアイコンにふさわしい。

パテック フィリップスーパーコピー時計 代引き専門店サイドロメーターの視認性とトラベルタイムの利便性を融合させたタイムレスアイコン
カラトラバ・パイロット・トラベルタイム
(左)カラトラバ・パイロット・トラベルタイム Ref.5524
2018年に追加されたRGケース版。下地のソレイユを強調した艶やかなブラウンのダイアルは、外周にブラック・グラデーションを施す。自動巻き(Cal.324 SC FUS)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KRGケース(直径42.0mm、厚さ10.78mm)。6気圧防水。
(右)カラトラバ・パイロット・トラベルタイム Ref.7234
2018年発表のミディアムサイズ。クロス状のステッチが施されたストラップに、独特なフリップの付いたネジ留めピンバックルを組み合わせる。自動巻き(Cal.324S C FUS)。29石。2万8800振動/時。パワーリザーブ約45時間。18KRGケース(直径37.5mm、厚さ10.78mm)。6気圧防水。
 民間航空会社が大きく発展を遂げた1930年代は、パイロットウォッチが急速な進化を果たした時代でもあった。こうした30年代中頃の一時期にだけ製作された特殊時計が、天測のみに用途を限定したサイドロメーターだ。時角時計、または星測器と訳されるこの装置は、恒星の位置を角度で表すことを目的とする。短針は24時間=360度で1周し、ひと目盛りは60度。長針は1周4時間=60度でひと目盛りが1度、秒針に相当する針は1周4分間で、ひと目盛りが1分(1度の60分の1に相当する角度)を表示する。運針のサイクルが通常の時計とは異なるため、時刻を表示することはできないが、デザイン的には同時代の航空用デッキウォッチとの共通点も多い。

パテック フィリップでは1936年に少数のサイドロメーターを製作しており、うち2本がジュネーブのミュージアムに収蔵されている。搭載される手巻きのムーブメントは19リーニュ。50mmを超えるケース径はパテック フィリップのアーカイブの中でも一際異彩を放つ。

PPM 844、PPM 1655

1936年に製作された2本のサイドロメーター。右のPPM 844は、ムーブメントNo.170383/ケースNo.613 411、左のPPM 1655は、ムーブメントNo.170381/ケースNo.613 559で、後者は分単位の角度表示針(秒針に相当)がスプリット式となっている。なお角度の読み方は、右の例で308度0分となる。搭載ムーブメントはどちらも19リーニュ、21石のレバー脱進機仕様で、ジュネーブ・シールに準拠。スワンネック式の微調整装置を持った緩急針や、ウルフティースの歯形を持った角穴車などを備える。ダイアルは共にブラックエナメル。直径55mm(オークション出品時の資料では前者が56mm、後者が55.3mm)。現在はパテック フィリップ・ミュージアムに収蔵。
 同ミュージアムがこの2本を収蔵品に加えたのは、1991年と2009年のこと。それをインスピレーションの源として、2015年に登場した「カラトラバ・パイロット・トラベルタイム 5524」もまた、初出時は異色のパテック フィリップとして愛好家や関係者を大いに驚かせている。ケース径は、従来のカラトラバのイメージからすれば、かなり大ぶりな部類に入る42mm。機能性に溢れたダイアルデザインは典型的なパイロットウォッチ像をイメージさせるものの、なぜパテック フィリップがパイロットを手掛けるのか、その理由についてはほとんど知られていなかったのである。18年にケース径37.5mmの7234が追加されると、スタイリングの自由度が大きく増し、より幅広い層に受け入れられるアイコンのひとつに成長してゆく。

カラトラバ・パイロット・トラベルタイム

ローザンジュ針の雰囲気を残しながら、バトン状に仕立て直された時分針。剣先をすぼめて針先を伸ばすのは1930年代風の手法。ホームタイム表示用の時針はスケルトン仕様。
カラトラバ・パイロット・トラベルタイム

1920~30年代の初期パイロットウォッチに多く見られるセリフ体のアラビックインデックス。プリントではなく、スーパールミノバが施された、立体的なアプライド仕上げを採用する。
 パテック フィリップが非凡だったのは、1930年代のサイドロメーターという歴史上のルーツを明示しておきながら、デザイン面では時計としての機能性を最優先に換骨奪胎させたこと。そして何より、トラベルタイムを搭載することで、実用的なコンプリケーションに仕立てたことであろう。デュアルタイマーの機能性を現代的なパイロットウォッチ像に還元させつつ、往年のサイドロメーターからDNAを抽出することで、ダイアルの判読性も極めて高いレベルに纏め上げている。例えばセリフ体のアラビックインデックスは1930年代製パイロットの典型的なディテールのひとつだが、実用性一辺倒のペイントではなく、立体的なアプライドとすることで質感を高めたことも同社らしい。第2時間帯表示針(=スーパールミノバが施されたほうの短針)は8時と10時位置のプッシャー操作で早送り/逆戻しが可能で、6時位置のポインターデイト表示もこれに連動する。ホームタイムとローカルタイムの双方に独立表示させたデイ&ナイトも、実際に使ってみるとその利便性が際立つ。

カラトラバ・パイロット・トラベルタイム

ホーム/ローカル双方のデイ&ナイト表示。ホーム側はスケルトン針連動のリュウズ操作、ローカル側は副時針連動のプッシャー操作。カレンダー表示は1日のみが赤く仕上げられる。
カラトラバ・パイロット・トラベルタイム

スーパールミノバが施された第2時間帯表示の副時針は、ケース左側面のプッシャーで単独操作が可能。8時が進み方向、10時が戻し方向で、バヨネット式のロック機構も備える。
 航空管制の発達に伴い、サイドロメーターはその役割を終え、以降のパイロットウォッチは航法上の補助装置として規格化された進歩を遂げることになる。カラトラバ・パイロット・トラベルタイムが持つ自由度の高さは、こうした画一化以前にルーツを遡ることができるからだろう。現代的なトラベルツールとしての利便性とパイロット由来の視認性が一体となった、稀有なるタイムピースなのだ。

カラトラバ・パイロット・トラベルタイム

現代的なカラトラバのデザイン手法を色濃く見せるプロファイル。ベゼルの高さやミドルケース側面の丸みなどにボリュームを分散させているため、不要な厚さを感じさせない仕上がりに。6時位置のラグ間に配されたコレクターはカレンダー調整用。相対的にケース径が縮小された結果、このミディアムサイズのほうが、ダイアルの凝縮感もアップした印象。インデックスや針を取り付ける高さにも、一定したバランス感覚を見せる。

タグ・ホイヤー カレラからクロノグラフ エクストリームスポーツとトゥールビヨン クロノグラフ エクストリームスポーツが新登場

2025.05.07

今年の初め、私の同僚であるジョナサン・マクウォーターが、タグ・ホイヤーとポルシェの最新コラボレーションであるタグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ × ポルシェ963を紹介した。この時計のデザインは、確かにその目的に応じたアグレッシブなスタイリングであり、レーシングカーであるポルシェ963へのオマージュとして多くの要素が取り入れられている。963本限定と製作本数は多いが、タグ・ホイヤーのウェブサイトやほとんどのオンライン小売店ではすでに完売しているのが現状である。間違いなく、その多くはポルシェオーナーやモータースポーツファンの手首に渡っているに違いない。

クロノグラフ エクストリームスポーツの新しい4つのダイヤルバリエーション。

ポルシェとのコラボレーションは、あくまで本格的なラインナップへの前置きとしてリリースされたようだが、タグ・ホイヤーは本日、クロノグラフ エクストリームスポーツとして合計6本の時計を発表した。これは、クロノグラフ エクストリームスポーツの4つのバリエーションと、トゥールビヨン クロノグラフ エクストリームスポーツのふたつのバリエーションで構成されている。タグ・ホイヤー従来の“一体型”ラバーストラップ クロノグラフと比較して、新しいラインナップのケースはより立体的な造形を持ち、ウブロスーパーコピー代引き 優良サイトジョナサンが記事で触れているように、これは大きなプロファイルをスリムに見せるための重要な技術である。本作を例に挙げると、ケースの直径が44mm、厚さは15.1mmだ。ケースはサテンとポリッシュ仕上げが施され、ケース側面の沈み込んだ部分はコントラストのあるサンドブラスト仕上げを採用。タキメーター表示はマットブラックのセラミックベゼルに配置されている。4本からなるクロノグラフ エクストリームスポーツのすべてにおいて、裏蓋、プッシャー、リューズはすべてDLCコーティングが施されたチタン製であり、インタラクティブなパーツ(時計の操作に直接関わる部分)にはグレード5が、裏蓋にはグレード2チタンが使われている。

この“エクストリーム”シリーズ最大の特徴はダイヤルだ。ブランドによれば、この新世代のスケルトンダイヤルは視認性を向上させるために再設計され、ブリッジの多くにコントラストが強調されているという。ポルシェとのコラボモデルとは異なり、新しいダイヤルではクロノグラフカウンターの中身がくり抜かれており、各インダイヤルのインナーリングに目盛りが印字されている。オープンワークのデイト窓の背後には四角いホワイトスーパールミノバがあり、暗闇でも日付が見えるという巧妙な工夫が施されている。それぞれのカラーバリエーションでは、クロノグラフ秒針、インダイヤル、セコンドトラック、そしてデイト窓がアクセントになっており、とくに私が一番気に入っているのは燃えるようなオレンジのモデルだ。

クロノグラフ エクストリームスポーツの内部で時を刻むのは、最新のCal.TH20-00である。これはグラスボックス クロノグラフにも搭載された現行のクロノグラフムーブメントだ。

今回同じく発表されたほかのふたつの時計は、カレラ トゥールビヨン クロノグラフ エクストリームスポーツであり、1本はオールブラック、もう1本はローズゴールドのデザインである。どちらも直径44mmで、6時位置には日付表示の代わりにトゥールビヨンの開口部を設けている。このトゥールビヨン クロノグラフの構成は、すでにCal.TH20-09を搭載したグラスボックスバージョンで見たことがあるが、正直に言うとタグ・ホイヤーのトゥールビヨンにはこのアグレッシブなスタイリングがよりしっくりくると感じる。モノクロのチタン製クロノグラフにはブラックのフォージドカーボン製ベゼルが採用されており、一方のローズゴールドモデルにはブラックの目盛りが入ったポリッシュ仕上げのローズゴールドベゼルがマッチしている。

タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ エクストリームスポーツモデルの価格は114万4000円からスタート。カレラ トゥールビヨン クロノグラフ エクストリームスポーツは364万6500円(ともに税込)からで、すべてのモデルが今月発売予定である。

我々の考え
まず最初に言っておくと、最近のカレラ グラスボックスの新しいデザインにすっかり心を奪われている。そのため、私はこれらのエクストリームウォッチのターゲット層ではない。これらは完全にモダンかつほぼ未来的でスケルトン化されたレーシングクロノグラフを求める顧客向けのものだ。ブランドが製品名で示しているとおり、まさにエクストリームなのだ。現行のタグ・ホイヤー スケルトン クロノグラフを見ると、時計のあらゆる側面に少しずつこだわりを足していることこそ、この時計の魅力を高めているように思う。

旧カレラ クロノグラフから新しいグラスボックスへの変化を追うと、多くの同様の変更点がこのエクストリームラインにも見られる。ラグが少しスリムになり、全体的にシルエットがより滑らかになっているようだ。唯一気になるのは、ラグとストラップのあいだに追加されたセンターリンクだ。この部分が、ケースのラグからラグまでの距離を強調しすぎる可能性があると思うのだが、ブランドはこのデザイン変更を特に考慮したと説明している。それでも以前のバージョンとは明確な視覚的差別化が図られており、再び言うが、これはまさにエクストリームだ。

closeup of blue
トゥールビヨンに関しては、この全体的なパッケージに共鳴するのは特殊な顧客だと思うが、この価格帯でこの複雑機構を備えたモデルはほかにない。タグ・ホイヤーは、400万円以下の価格帯でトゥールビヨンを発表した最初の大手ブランドのひとつ、もしくは唯一のブランドとして、私のなかでは強く結びついている。もしこれがほかの大手メーカーにも、同じ価格帯でトゥールビヨンを提供するきっかけになるのであれば、マーケットのリサーチとして非常に興味深い展開になるだろう。タグ・ホイヤーのほかのトゥールビヨン クロノグラフの売れ行きが非常に気になるところだが、タグ・ホイヤーがCal.TH20-09のバリエーションを継続的に発表しているということは、この戦略がうまくいっていることを示しているのだろう。

基本情報
ブランド: タグ・ホイヤー(TAG Heuer)
モデル名: カレラ クロノグラフ エクストリームスポーツ(Carrera Chronograph Extreme Sport)、カレラ トゥールビヨン クロノグラフ エクストリームスポーツ(Carrera Chronograph Tourbillon Extreme Sport)
型番: CBU2081.FT6274(クロノグラフブルー)、CBU2082.FT6275(クロノグラフオレンジ)、CBU2080.FT6272(クロノグラフブラック)、CBU2050.FT6273(クロノグラフローズゴールド)、CBU5080.FT6272(トゥールビヨンブラック)、CBU5050.FT6273(トゥールビヨンローズゴールド)

直径: 44mm
厚さ: 15.1mm
ラグからラグまで: 49.7mm
ケース素材: チタンまたは18K5Nローズゴールド&チタン
文字盤: スケルトン
インデックス: アプライド
夜光: あり、スーパールミノバ
防水性能: 100m
ストラップ/ブレスレット: 中央にチタン製リンクを備えた一体型ラバーストラップ、チタン製フォールディングクラスプ

ムーブメント情報
キャリバー: TH20-00(クロノグラフ)/TH20-09(トゥールビヨン クロノグラフ)
機能: 時・分・スモールセコンド、クロノグラフ(クロノグラフには日付表示を、トゥールビヨン クロノグラフにはトゥールビヨンを搭載)
パワーリザーブ: 約80時間(クロノグラフ)/約65時間(トゥールビヨン クロノグラフ)
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万8800振動/時
クロノメーター: なし

Pricing & Availability
価格: クロノグラフは114万4000円、DLC加工のクロノグラフは117万1500円、ゴールド&チタンのクロノグラフは171万6000円、チタンのトゥールビヨン クロノグラフは364万6500円、ゴールド&チタンのトゥールビヨン クロノグラフは457万6000円(すべて税込)
発売時期: 2024年9月
限定: なし

M.A.D.1Sは時計の世界を楽しませる最高峰のエンターテインメントウォッチだ

2025.05.07

友人やサポーターへの"感謝"としての時計、オロロジカルな遊び心を持つおもちゃ、あるいは数十年にわたる前衛的デザインの民主化など。どんな視点から見てもM.A.D.1シリーズは、もし幸運にも手に入れられたなら必ず笑顔をもたらしてくれる時計だ。

すでに1500名の幸運な人々のなかに自分が含まれているかどうか、分かっているはずだ。もし当選していたら、おめでとう。ただ選ばれなかったとしても落ち込む必要はない。今後もM.A.D. エディションから新作が登場するからである。まだ事情を知らない人のために説明すると、私はM.A.D. エディションのM.A.D.1のリリースが、時計業界における重要な転換点であったと本気で考えている。

MB&Fは、長年コラボレーションやコミュニティの旗手として知られてきたブランドだが、同時にアバンギャルドな高級時計に高額な価格が伴うことでも知られていた。MB&Fの時計を見るとその価格に納得できるだろう。スーパーコピー Nランク代金引換専門店複雑さ、仕上げ、技術力、デザイン、そして生産数の少なさが“高価さ”を物語っている。だがマックス・ブッサー(Max Büsser)氏に会って彼を知るうちに、これらの時計は価格や排他性を気にしてつくられたものではないことに気づく。アイデア、デザイン、対話、そしてコミュニティがすべてなのだ。

M.A.D.1S
M.A.D.1の登場は驚くことではない。これはMB&Fでありながらも、厳密にはMB&Fではない手ごろな価格の時計である。まるでマックス・ブッサー氏とM.A.D. エディションのチームが、まさに私のような人間のために手ごろな時計をつくってくれたかのように感じた。そういう意味では完璧だった。もちろん、一部の人々にとって2900スイスフラン(日本円で約50万円)という価格は、品質に対してやや高めだと感じるかもしれないとも言われていた。しかし自分にとってはその価格に不満はない。いずれにせよ価格そのものというよりも、その価格が何を意味しているかが重要だったのだ。

多くの人々がこの時計を熱望し、4つのバリエーションが発表された(“トライブ”向けの最初のブルーモデル、レッドモデルの2回の抽選、グリーンモデルの抽選、そして今年初めに登場したマルチカラーのコラボレーションウォッチ)。最初のふたつのレッドモデルの生産数3000本に対しては4万以上の応募があった。もちろん、欲しかった全員が手に入れられたわけではない(自分もそのひとりだ)が、この一連の取り組みそのものが非常に印象的だった。

M.A.D.1 Red
赤いM.A.D.1は初のM.A.D.1ではなかったが、一般の人々が購入できる初めてのモデルだった。それはとても大きな出来事だったと思っている。

時計を愛することは誰にでもできる民主的な行為だ。しかし時計を所有することは本質的にその反対である。確かに手ごろな価格のブランドはたくさんある。ただなぜか本当に欲しいと思う時計ほど、手が届かないように感じるものだ。金銭的な理由、入手の難しさ、限られた供給など、時計への愛を実際の所有に結びつけるための障壁は数多く存在する。M.A.D.1が特別だったのは、マックス・ブッサー氏がその現実を認めた点にあった。1万ドルのグルーベル・フォルセイや、1万5000ドルのフィリップ・デュフォー、5000ドルのウルベルクを想像して欲しい。それらがブランドの価値を損なわない形でつくられているとしたら、どうだろう。ブッサー氏が行ったのはまさにそれだ。彼は創造性を発揮し、これまで彼のデザインや物語、さらには彼の人柄に引かれながらも、レガシー・マシンやオロロジカル・マシンを手にすることが難しかった人々にも手が届く価格帯にまで引き下げたのである。民衆のためにつくられた、楽しくてエキサイティングなデザインだったのだ。

正直なところ、ほかのブランドならひとつのデザインにとどめ、いくつかのカラーバリエーションを追加し、それで終わりにしてしまったかもしれない。コミュニティへの“ありがとう”の気持ちとして、1度だけ感謝の意を表すのでも許されるだろう。実際、M.A.D. エディションもM.A.D.1で同じようなアプローチを取った。M.A.D.1はGPHGでチャレンジ賞を受賞し、いくつかのカラーバリエーションを追加した。そして私はこれからも、彼らが同じように、欲しい人全員に手に入るチャンスが来るまで続けるのだろうと思っていた。

Time to Love
M.A.D.1は今年初め、フランス人ファッションデザイナーであるジャン・シャルル・ドゥ・カステルバジャック(Jean-Charles de Castelbajac)氏と共同で製作した“タイム・トゥ・ラブ”エディションを発表した。Photo: courtesy M.A.D.Editions

実際、その計画はとても収益性の高いものであったはずだ。最近、シャネルがMB&Fの株式を25%取得した際に公表された財務報告によると、2023年の総収入は4550万スイスフラン(日本円で約77億6000万円)に達していた。だがさらに驚くべきことに、そのうち1015万スイスフラン(日本円で約17億3000万円)は昨年のM.A.D.1のバリエーション展開だけで得たものであった。しかし、Geneva Watch Daysに先駆けて新しいM.A.D.1 S(“S”はスリムの意)が発表された際、彼らが現状に甘んじるつもりはないことが判明した。誰も予想していなかったものを、さらに改良してみせたのだ。

MAD1S
M.A.D.1をまだ知らない人のために説明すると、この時計は本質的に時計版ハンドスピナーである。通常ダイヤルがある場所に、3本のアームからなるブレードローターが配置されている。この表現に悪意はまったくない。ある友人は、私が無意識に時計を巻いていることが多いと指摘していたが、M.A.D.1 Sではその“巻き”が新たな次元に達していると思った。適度な力で触れるとローターがしばらくのあいだ回転し続け、リューズのウェイトが手首の上でカタカタと動く感触が伝わってくることがある。その回転は意図的に引き起こすこともできるが、友人は私が何気なく手を動かしているだけで、ローターが勝手に回転しているのをよく目にしていたと言っていた。

M.A.D.1S
この時計の動画を投稿したところ、時計好きではない友人たちから何人か“いいね、でもどうやって時間を読むの?”と言われた。そこで、これは“ドライバーズウォッチ”と呼ばれる時計に近いもので、時間はケースの横(ミドルケース部分)で表示されると説明した。M.A.D.1では、時間が刻まれたバレルが回転し、それに矢印が指して時間を示す仕組みで、さらに15分ごとの目印も付いている。もちろん時間の精度が特別高いわけではないが、それはこの時計の本質ではない。時間を示す香箱はアルミニウム製で、ムーブメント外周の色に合わせて着色されている。新しいM.A.D.1 Sには“トライブ”メンバーだけが購入できるパープルと、抽選で購入権が与えられたアイスブルーのふたつのカラーバリエーションがある。

MAD1S
M.A.D.1 Sには、実用的で機能的な改良がいくつか施されているが、そのカギは名前に表れている。この時計はこれまでより20%以上薄くなっているのだ。この薄さは多くの時計で顕著だろうが、特に厚さ18.8mm、直径42mm、ラグからラグまで50.5mmというサイズから始まった時計の場合、その変化は非常に大きい。多くの人にとっては、着用が難しいほどの大きさだった。とくに比較的フラットな裏蓋とラグの配置が高さを際立たせていたため、M.A.D.1はまるで手首にホッケーパックを載せているような感覚だった。しかし42mmの幅で厚さが15mm、さらに30mの防水性能を備えたM.A.D.1 Sは、はるかに着用しやすくなっている。

M.A.D.1S
この数ミリを削減するために、M.A.D. エディションはM.A.D.1から時間を示す香箱を丸ごとひとつ取り除いた。以前は、時・分をより正確に表示していたのだが、今回のモデルはおおよその時間を知るための時計となった。私はこの時計をほぼ1週間着用したため、実際の使い勝手についてはあとで詳しく説明するが、理論上このトレードオフは完璧に理にかなっていると言えよう。

M.A.D.1S
上から見ると、ムーブメントやブレードローターが見え、ラグはケース本体の端から突き出している。このラグはかなり細くなり、全体のバランスが取れたシルエット」になっている。ローター自体はタングステンとチタンの組み合わせで十分な重さがあるため、回転がスムーズに行えるようになっている。またローターにはかなりの量の夜光塗料が塗布されている。もしUVライトを持ち歩くような時計愛好家であれば、夜には光を楽しむこともできるだろう。

M.A.D.1S Lume
今回の新作M.A.D.1 Sで、M.A.D. エディションは新しいムーブメントを発表した。これは最初のM.A.D.1が発売されたときには存在していなかった、改良されたラ・ジュー・ペレ G101だ。ブッサー氏の友人のひとりが、以前使用していたミヨタムーブメントのアップグレードとしてこのムーブメントを推薦したという。ラ・ジュー・ペレムーブメントはスイス製だ(ただ何人かの人々が控えめに指摘しているように、ラ・ジュー・ペレはシチズングループの傘下であり、日本企業が所有しているため、ある意味“同じファミリー”に属しているとも言える)。とはいえ、サイズの調整やスイス製ムーブメント(2万8800振動/時で駆動し、約68時間のパワーリザーブ)を搭載しながらも、ブランドは価格を2900スイスフラン(日本円で約50万円)に据え置いた。

M.A.D.1S
ローターが一方向に回転することこそ、あの“クルクル回る”特徴の実現には重要である。クラッチ機構も、ゼンマイが完全に巻き上がっている状態でもローターが回り続けることを可能にしている。また仕上げもミヨタムーブメントよりはるかに美しくなっている。ただローターが以前のモデルほど自由に回転せず、急に止まるという欠点もある。時計の回転軸を急に変えるとすぐに回転が止まってしまうのだ。推測だが、ラ・ジュー・ペレのムーブメントはおそらく寸法のばらつきが非常に小さくなっているのだろう。初期のM.A.D.1やミヨタムーブメントを搭載した時計を巻いたときの感覚はよく覚えているが、ローターから緩く取り付けられているようなガチャガチャした感じがよく伝わってきた。もし、あの止まらない回転が好きだったなら、このアップグレードにはその分のデメリットもあると言えるだろう。

M.A.D.1S
通常、時計をひっくり返すとムーブメントや裏蓋のエングレービングを見ることができる。しかしM.A.D.1シリーズでは、裏蓋自体が時計をラグに固定するための構造の一部となっている。ラグとスティール製ケースはそれ以外の部分では接続されていない。このデザインによる主な配慮は、時計全体をしっかりと手首に固定することにあるようだ。というのも、この時計をつける人はローターを回転させるために手首が頻繁に動くと予想されるからだ。また時計の奥行きの多くは、時間を表示する中空のアルミニウム製香箱によって占められており、これにより時計は軽量に保たれている。

M.A.D.1S
M.A.D.1S
リューズは12時位置(通常の時計で12時がある場所)に配置されている。時間を設定するためにリューズを使う際はストラップが邪魔になるため、おそらく腕から時計を外す必要があるだろう。このリューズはオリジナルよりも大きくて使いやすく、リューズトップ部分にはローターブレードのような形を持つカメがデザインされている。

M.A.D.1S
M.A.D.1S Lume
本作にはテキスタイル柄の快適なレザーストラップが付属するが、以前のストラップよりも薄く加工されており、つけ心地が向上している。ストラップのアクセントステッチは、M.A.D.1 Sの各モデルに合わせた色を使用。またこの時計は人に見せるために着脱を頻繁に行うことが多いため、デプロワイヤントクラスプが付いている。これにより着脱が簡単になり、実用性が非常に高くなる。ほぼ必須のアクセサリーと言えるだろう。ちなみにデラグス(Delugs)では、ラグ幅24mm(バタフライクラスプ部分で20mmにテーパーする)のM.A.D.1 Sに対応する、サイズ調整可能なラバーストラップを販売している。少し高価に感じるものの、私は購入するつもりだ。

M.A.D.1S
私は普段、“ダブルリスティング”(両の腕に1本ずつ時計をつけること)に強く反対しているタイプだ。まあダブルリスティングをする人に対して何かあるわけではなく、単に自分ではしないだけだ。しかしこの時計に関してはそのルールを破ってしまった(とはいえ短時間だが)。マックス・ブッサー氏と彼のチームが、Geneva Watch Daysのあいだこの時計を貸してくれたため、多くの人に見せて回る必要があると感じたのだ。この時計は楽しく、見る人を笑顔にしてくれる。ダブルリスティングをしない理由があるだろうか? とはいえ、この計画にはふたつの問題があった。

M.A.D.1S
まず、展示会のように次々とタイトな予定が入っている場面では、正確な時間を表示してくれる時計があると便利だということ。とくに通常のダイヤル配置に慣れすぎている場合だ。オリジナルのM.A.D.1を長時間つけたことはないが、たとえこのモデルが分単位の精度を欠いていたとしても、正確さを求めるよりも、このスリムさを選ぶということはないだろう。

M.A.D.1S
ほとんどの人は、反射的に通常ダイヤルがある場所を見てしまうため、“ドライバーズウォッチ”のデザインに慣れるには少し時間がかかる。それでもこの時計をみんなに見せたいと思い、右手首につけてみた。すると、右手首ではローターがより簡単に“回転”することに気づいたのだ。この時計をハンドスピナーのように回転させるにはちょっとしたコツがいるが、それは自分で見つけるしかない。ただコツをつかめば、その仕組みがしっくりくるはずだ。

ミヨタから新しいラ・ジュー・ペレムーブメントに変更されたことで、ローターが反時計回りに回転するようになった。オリジナルでは時計回りに回転していたためこの違いは興味深い。ローターを動かす角運動量を考えると、理にかなっている。左手首を上げるとき、肘の動きはより時計回りになりやすい。一方右手首を上げるときは、肘を中心に反時計回りの動きをする。手首を素早く上げて急に止めると、ローターが回転しやすいのもそのためだ。右から左へ素早くスナップさせるような動きでも、時計を高速で回転させることができる。まるで水切り石を投げるような感じだが、手首をあまり緩くしすぎて、時計をM.A.D.1 S フリスビーエディションにならないように気をつけてくれ。

M.A.D.1S
ロレックススーパーコピー代引きこれまでに技術的な詳細やビジネス上の決定について多くの議論がなされてきたが、それは私にとって本質的なポイントではない。Geneva Watch Daysの期間中、私はM.A.D.1 Sを常に持ち歩き、まだ時計を見たことがない人に見せて取り出していた。大手ブランドの人々(インディーズも含む)が時計を見せてほしいと頼み、何度も回転させようとしていた。イタリアのコレクターたちのテーブルで時計を回して見せたあと、ホテルのドアマンにも見せたところ、彼も興味を持っていた。よくある表現だがこの時計は本当に人々の顔をほころばせたようだ。

この記事が公開されるころには抽選が終了しており、幸運な1500名のなかに入っているかどうか、まもなく分かることだろう。もし当選していなくても、希望を捨てないで欲しい。M.A.D. エディションのラインは、今やマックス・ブッサー氏の活動において重要な存在となっており、将来的にM.A.D.1 Sの新バージョンが登場することに賭けてもいい。そしてさらにいいニュースがある。来年にはM.A.D.2が登場すると約束されており、この“狂気”が再び始まるのだ。

M.A.D. エディション M.A.D.1S。直径42mm、厚さ15mmのステンレススティール製ケース、ラグ幅24mm、30m防水。中央のムーブメントを囲むアルミニウム製プレート(パープルまたはアイスブルーのアクセント)、ケースエッジで回転する時間表示香箱。2万8800振動/時(4Hz)、約68時間パワーリザーブのラ・ジュー・ペレ製G101ムーブメントを搭載。カラーマッチのコントラストステッチを施した“レーシング”レザーストラップ。現在は1500本限定生産で、価格は2900スイスフラン(日本円で約50万円)

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